「もう荷物届いたかな?」俺はスマホを片手に、深いため息をついた。宇宙戦艦ヤマト運輸の追跡番号を確認しようと、慌ただしい日常から少しの安らぎを求める。
「追跡番号を入力してください…って、またかよ」とぼやく。画面にはいつものように、何かしらの不具合が表示される。
俺はこの配送を心待ちにしていた。地球から遠く離れたコロニーでの生活は思ったよりも孤独で、宇宙中に広がる倉庫や運送ルートが混雑していることもあって、荷物が届くのはいつも予想外のタイミングだ。
「もしもし、ヤマト運輸ですか?荷物がまだ届いていないんですけど…追跡番号は…えっと、54218-XX…」俺は宇宙電話を通じてカスタマーサポートに連絡を取ることにした。数秒のラグがあり、オペレーターの声が宇宙を通じて響く。
「お客様、ただいま追跡システムにアクセス中です。少々お待ちください」
ピピピ…と電子音が耳に心地よく響く。遠くのコロニーまで荷物を届けるのは、普通の宅配便よりも複雑で、時間がかかることは知っている。だが、今回は特別だった。中身は古代の地球の遺物で、オークションで苦労して手に入れた貴重なアンティークだったからだ。
「大丈夫かな、無事に届くよな…」俺は窓の外、無限に広がる星空を眺める。銀河の隅っこで暮らす自分の小ささを実感しながらも、この小さな荷物が俺にとってどれだけ大切かを改めて感じた。
「お客様、こちらで確認しましたところ、ヤマト運輸のドローン船が現在、銀河系第七航路を通過中です。予定通りに進んでおりますが、少し遅延が発生している模様です」
「遅延…ですか。どれくらいかかりそうですか?」
「えっと…現状では、あと12光年ほどの距離ですので、2日以内にはお届けできる見込みです」
「2日か…分かりました。ありがとうございます」
電話を切り、俺は再びソファに沈み込む。ヤマト運輸の効率性には定評があるが、やはり宇宙空間では何が起こるか分からない。
ふと、通信端末が光りだす。ヤマト運輸からの自動メッセージが届いたようだ。
『お荷物は現在、地球圏を離れ、次の中継地点へ向かっています。遅延の原因は小惑星帯での衝突回避のためです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。』
「小惑星帯か…そりゃ時間がかかるはずだよな」と独り言をつぶやく。宇宙の運搬は危険が付き物だが、それでもヤマト運輸は荷物をしっかり届けてくれると信じている。
翌日、宇宙の朝日が昇る頃、端末がまた通知を鳴らした。『お荷物は本日中にお届け予定です。ヤマト運輸ドローン船は現在、コロニー最終航路に進入しています。』
「よし!ついに来たか!」俺はテンションが上がった。何度もヤマト運輸のアプリを開いては、ドローン船の位置を確認する。
数時間後、ついに俺のコロニーのハンガーにドローン船が到着した。大きな宇宙船の陰から、荷物がゆっくりと降ろされるのが見える。
「お届け物です!」クロネコマークのドローンが、機械的な声で俺に向かって言った。
「ありがとう、待ってたよ」と荷物を受け取り、俺はその重みを手に感じた。
「ついに来た…宇宙の果てでも、やっぱりヤマト運輸は頼れるな」と微笑む俺は、その瞬間だけ、コロニーでの孤独を忘れていた。
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