「今日は何が食べたい?」ママがいつものように朝、聞いてきた。私は「カレーがいいな」と答えた。でも、帰宅するとテーブルの上にはカレーの姿はなく、代わりにトマトソースがたっぷりかかったスパゲッティがあった。
「え、なんでカレーじゃないの?」私の声に、ママは少し驚いた顔をした。
「今日はトマトがたくさんあったから、スパゲッティにしたのよ。カレーはまた今度ね」と、ママは優しい声で言ったけれど、私の気持ちはすぐには収まらなかった。
「でも、私、カレーが食べたかったんだもん!」私の声が少し大きくなった。ママは困ったような顔で、「ごめんね、でも今日はこれで我慢して」と言った。
「いつも私の意見、聞いてくれないじゃん!」私は怒りでいっぱいだった。ママも急に顔を曇らせ、「そんなことないわ。でも、家族みんなのことを考えて決めないといけないの。あなただけのために料理を作ってるわけじゃないのよ」と厳しい声で言い返した。
その言葉が、私の心をぐさりと突き刺した。私は急に涙が出てきて、何も言えなくなった。ママも気まずそうにして、しばらくはお互いに黙ってしまった。
食事はほとんど手をつけずに、私は部屋に戻った。部屋にいると、ママがそっとドアをノックして、「ごめんね、ちゃんと話を聞いてあげられなくて」と謝ってきた。
「ううん、私もごめん。わがまま言って」と私も謝った。ママと私は抱き合って、その日は仲直りした。
この喧嘩を通して、私たちはもっとお互いの気持ちを大切にすること、そして家族みんなで幸せになるためには譲り合いも必要だということを学んだ。それからは、夕ご飯のメニューを決める時も、お互いの意見を尊重するようになった。
喧嘩の原因はたかが夕ご飯のメニューだったけれど、その小さな出来事が私たち親子の絆をさらに深めるきっかけになったのだから、不思議なものだ。
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