『見てはいけない “あの部屋”──深夜0時、開いた扉の向こうはこの世じゃなかった』
……ねえ、聞いたことある?
「このアパートの203号室には絶対に入っちゃいけない」って話。
あたし、そんなの都市伝説だと思ってたの。
だけど……あの夜、本当に見てしまったんだよ。あの部屋の向こうの“異常”を。
大学に入って初めての一人暮らし。
駅から近いし、家賃も安いし、「ここしかない!」って決めたのが、あのボロアパートだった。
“フジミ荘”──漢字で書くと「不死見荘」。今思えば、名前からして不気味だったよね。
最初は普通だったんだ。
隣の部屋からも生活音が聞こえるし、上の階の足音だってしてたし。
でも……気づいたの。夜になると、203号室からだけ音が消えるのよ。
カーテンは開いたまま。電気もついてない。なのに、誰かが住んでるって管理人は言ってた。
ある夜、深夜0時きっかり──コン、コン……ってノックの音が聞こえた。
「……誰?」って思ってドアスコープを覗いたけど、誰もいなかった。
でもね、目を離した一瞬、カチリって音がしたの。
203号室のドアが、開いたのよ。誰もいないはずの部屋のドアが、ゆっくり……。
バカなあたしは、好奇心に勝てなかった。
「ちょっとだけ、見てみよう」って、サンダルのまま階段を下りて、203号室の前に立ったの。
ドアの隙間から、中が見えた。
最初はただの、古びた和室だった。だけど、次の瞬間──空気が“変わった”。
スーッと冷たい風が吹いてきて、畳の色がぐにゃりと溶けたの。
壁にかかってたカレンダーが、あり得ない速さでペラペラめくられて、時間が逆再生していくみたいだった。
「うそでしょ……」って声に出したら、その瞬間。
部屋の奥の襖が、\*\*ガタン!\*\*って音立てて開いた。
誰か、いや、“何か”がいたの。
真っ黒い影、だけど目だけが赤く光ってて……そいつがあたしを見て、**笑った**の。
気がついたら、部屋の中にいた。
戻ろうとしたけど、廊下が、階段が、外が……全部“なかった”。
畳の上を歩いても、どこまで行っても、また同じ部屋に戻ってくる。
スマホも通じない。時刻は、**ずっと0時**のまま。
泣きながら叫んだよ。「助けて!誰か!!」って。
でも返ってきたのは、壁から響く無数の声。
「見たね」「見ちゃったね」「ここは、帰れないんだよ」
気が狂いそうだった。
でも──気づいたんだ。ひとつだけ、戻る方法があるって。
**代わりを連れてくればいいの。あの部屋に、次の“誰か”を。**
……そうやって、あたしは帰ってこれた。今ここにいる。
誰かが、あの部屋に引きずり込まれてくれたから。
ねえ、あなた……今、どこに住んでるの?
もし、「フジミ荘203号室」なんて部屋の前を通ることがあったら──絶対に、絶対に、
**ドアを開けないで。あたしの代わりになんて、なりたくないでしょ?**
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