お母さんがこちょこちょ くすぐりされてる【見えない手の悪戯】

これは、ある家族に起こった不可解な出来事である。

都内のマンションに暮らす佐藤家。母親の美奈子さんは、40代の専業主婦で、夫と小学生の娘と一緒に平穏な日々を送っていた。しかし、ある日を境に、奇妙な体験をするようになった。

夜、家族が寝静まった後--。

「ふふっ…やめて…」

美奈子さんは突然、くすぐられる感覚で目を覚ました。誰かが足の裏をこちょこちょと指でなぞるような感覚。だが、部屋には誰もいない。

最初は夢だと思った。しかし、それは何度も繰り返された。

ある日は料理をしている最中、ふくらはぎをそっとくすぐられる感触。

ある日はテレビを見ているとき、脇腹をこちょこちょとされる。

「ねえ、あなた？ 変なことしないでよ。」

夫にそう言っても、「何のこと？」と首をかしげるばかり。娘も、そんな悪戯はしていないと言う。

やがて、美奈子さんは夜が来るのが怖くなった。

ある晩、彼女はスマートフォンのカメラを枕元にセットし、一晩中録画することにした。そして翌朝、映像を確認すると??

そこには誰もいないのに、布団の上が微かに沈み、まるで「見えない何か」が動いているような跡が映っていた。

その瞬間、彼女の耳元で、はっきりと囁く声がした。

「…もっと遊ぼう？」

それ以来、美奈子さんは決して一人で眠ることはなくなったという。

しかし、それで終わりではなかった。

ある夜、夫が出張で不在の日、娘と一緒に寝ようとした美奈子さんは、ふと枕元に違和感を覚えた。

「……？」

冷たい指が、首筋を撫でた。

「やめてっ！」

反射的に跳ね起きると、娘はすやすやと眠っている。しかし、足元の布団が妙に膨らんでいる。

勇気を振り絞って布団をめくると--

そこには何もいなかった。

だが、その瞬間、美奈子さんの背後から、低い笑い声が聞こえた。

「……こちょ、こちょ。」

ゾワリと背筋が凍る。振り向く勇気はなかった。

翌朝、恐る恐る娘に尋ねた。

「ねえ、夜中に何か聞こえなかった？」

娘は首を傾げた後、こう言った。

「ううん…でもね、ママ。昨日の夜、お部屋の隅に知らないおじさんがいたよ？」

それ以来、美奈子さんはあのマンションを手放し、引っ越した。

だが、新しい家でも、彼女は時々感じるという。

夜、誰もいないはずの部屋で、ふと--

「こちょ、こちょ…」くすぐられた

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