仕事でめちゃくちゃ疲れて、終電ギリギリで家に帰った夜のことだった。夜中の2時前くらいかな。もうどっと疲れて何も考えずに玄関のドア開けたんだよね。そしたら、家の中が真っ暗でさ、あれ?お母さん寝たのかな、とか思いながらリビングに向かったの。そしたら、奥のキッチンから何か「ぐしゃ、ぐしゃ」って音がするんだよ。何の音だ?と思ってそーっと覗いたら、お母さんがキッチンのテーブルに座ってて、何か食べてるみたいなんだ。こんな夜中に?って最初は何か軽くイライラしたんだけど、よく見たら様子がおかしい。背中がすごく曲がってるし、髪の毛もぼさぼさで、しかも手が血だらけ。え?何これ?って思って、恐る恐る「お母さん?」って声かけたんだ。でも返事がない。むしろ動きが止まって、完全に静止。なんか変な空気が流れた。
そしたら次の瞬間、お母さんがバッと振り向いたんだよ。それがもう人間の顔じゃないの。目が真っ黒で濁ってて、皮膚がボロボロ。歯に何か挟まってるかと思ったら、それ…肉だったんだよ。しかも腕の一部っぽい。体が勝手に固まって動けなくなった。でも、次の瞬間、お母さんが立ち上がって「カサカサカサッ」って不自然な速さでこっちに向かってきた。息するのも忘れるくらい怖くて、反射的に背を向けて玄関に向かって走ったよ。でも足が震えて全然思うように走れないの。後ろを見る余裕もない。
なんとか玄関のドアを開けて外に飛び出したんだけど、振り返るとお母さん…いや、あのものが、まだドアの向こうでじっとこっちを見てたんだ。しばらく見つめ合ったけど、次の瞬間ドアが「ガシャン!」って閉まって、家がまた静まり返った。しばらく外で震えてたけど、結局警察呼んで家に戻ったんだ。でも、お母さんもあの怪物もいなくて、しかも家の中には何の異常もなかった。キッチンのテーブルも綺麗なまま、血の跡も何もない。警察には疲れて幻覚を見たのかもしれないって言われたけど…それでも、最後にドア越しにこっちを見てたあの目だけは、今でも忘れられないんだよ。
それからしばらくして、どうしても気味が悪くて実家にいるのが怖くなっちゃってさ、一人暮らしを始めたんだ。でも、引っ越してからもちょっとした物音にビクついたり、夜中に目が覚めたりで全然落ち着かなくて。特にあの"目"を思い出すと、それだけで背筋がゾッとする。このままじゃダメだって思って、少しでも気分転換しようと近所のカフェに行ったんだ。
そのカフェの片隅に大きな鏡がかかってて、ふと目が合ったんだよ、自分の映った姿と。でも、よく見ると…鏡の中の自分の顔、目が真っ黒だったんだよ。え、なんで?って思って振り返ったけど、後ろには誰もいないし、何も変なことはない。ただ鏡の中だけ、その"目"がこっちをじっと見てた。あのときのあの目と、全く同じだった。心臓がドクンドクンして、そのカフェを飛び出して家に戻ったんだけど、それ以来、気づくといつもその目がどこかにある気がして、もう落ち着かない日々が続いてるんだよね。仕事しててもふと視界の端っこに黒い影がちらつくし、夜寝てても部屋の隅から視線を感じる。
さすがに気のせいだと思おうとしてたけど…この前、明け方に目が覚めたとき、確信したんだ。ベッドサイドの鏡の中に、自分じゃない"何か"が映ってたんだよ。ぼんやりした輪郭だけど、あの真っ黒な目ははっきり見えた。怖くて目を閉じて布団を頭からかぶったけど、その瞬間耳元で「…どうして逃げるの?」って囁かれた。あの声、間違いなく…お母さんの声だったんだよ。僕、もうどうしたらいいかわからない。
ホラー映画は、観客の恐怖心を探求し、さまざまな形で人間の暗い側面を描き出します。
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