むかしむかし、ある町に、みんながこわがる場所がありました。その場所は、よるになると、少女のこえがきこえてくるといううわさがありました。
あるひ、ひとりの少年がその場所にちょうせんしようとしました。「こわいものなんてない」とおもいながら、よるのしずけさのなか、そっと歩いていきました。
すると、ふと、かげがうごくのがみえました。そこには、まるで少女のようなかたちがたたずんでいました。かれは、こわさをこらえながらちかづき、「きみはだれ?」とたずねました。
少女は、にこりとわらって、「わたしはここにいるよ」とこたえました。しかし、そのこえは、かすかにひびきわたり、まるでうらぎるようでした。
「どうしてここにいるの?」と少年がきくと、少女は「ひとりぼっちだから」といった。そのとき、かれは少女のめが、じっとかれをみつめていることにきづきました。
そのめは、まるでさけんでいるようにみえました。「わたしをたすけて」といわんばかりに。少年は、こわくなり、すぐにその場をはなれました。
そのあと、警察がその場所をちょうさしましたが、少女のことはだれもしりませんでした。そして、少年は、あのこえがいまでもきこえるといっています。「あのこは、いったいだれだったのか…」と。
そのあと、少年はふつうのせいかつに戻りましたが、あのよるのことが頭からはなれませんでした。いつも、あの少女のめがうかんできました。なぜ、あの場所にいたのか、そして、どうしてたすけをもとめていたのか。
あるひ、友だちと話していると、「あの場所に行ってみよう」と言いだす友だちがいました。みんなは「こわいからやめよう」といいましたが、少年は好奇心にかられ、「いこう」といいました。
よる、友だちといっしょにその場所に行きました。月のひかりのもと、みんなはおそるおそる歩いていきました。すると、またあのこえがきこえてきました。「たすけて…」
その声は、前回よりもせつなく、心にひびくものでした。少年は、こわさを感じながらも、声のするほうへと近づきました。友だちは、「もうやめよう」といいましたが、少年は「大丈夫」とこたえました。
そこで、また少女の姿があらわれました。彼女は、まるで風のようにそこにいました。「あなたたち、どうしてきたの?」と彼女はたずねました。
少年は、「あなたをたすけたい」とこたえました。すると、少女は笑い、しかしその笑顔にはどこかさびしさがありました。「たすけてほしいのは、あなたたちなのよ」と言いました。
その瞬間、少年は何かがおかしいと感じました。少女の周りに、薄暗いかげがうごめいていました。彼は、恐怖を感じながらも、「どういうこと?」とききました。
少女は、ゆっくりと答えました。「わたしはここにとりつかれているの。あなたたちが来るたびに、わたしのこえはもっときこえるようになる。だから、わたしを忘れてほしい。」
少年は、少女の言葉に心が痛みました。彼は、どうしても彼女をたすけたいと思いましたが、同時にこわくもなりました。友だちが「もう帰ろう」と言ったそのとき、少年は決心しました。
「わかった、でも、わすれないよ。いつかまた会おう!」と叫びました。少女は、涙を流しながらうなずきました。
少年たちは、その場をはなれ、家に帰りましたが、あの少女のことがずっと心にのこりました。それから、彼はその場所に近づくことはなくなり、あの少女の声を思い出すたびに、胸がしめつけられるのでした。
ホラー漫画
https://www.amazon.co.jp/shop/influencer-316d999d/list/PIT2NFAVYHSE
コメント
コメントを投稿