玲奈がいなくなった。
それだけなら、家族の事情や転校の可能性もあるだろう。だけど、おかしいのは誰も玲奈のことを覚えていないということだ。
「え? 玲奈? 誰それ?」
クラスメイトに聞いても、先生に聞いても、みんな首をかしげる。そんなはずはない。だって私は昨日まで玲奈と一緒にいた。学校でも、公園でも、ずっと二人で遊んでいたのに。
証拠を探そうとスマホを開いた。写真フォルダには確かに玲奈と一緒に写った写真がある。だけど……。
「え?」
写真の玲奈の姿が、薄い。
ぼんやりと透けていて、よく見ると、ほとんど形が崩れている。そんなはずはない。昨日撮った写真なのに。
焦って別の写真を開く。数日前に撮ったもの。そこにははっきりと玲奈がいた。だけど、昨日の写真では薄く、今朝撮ったものでは……玲奈の姿が、消えていた。
おかしい。こんなの、おかしい。
「玲奈! どこにいるの!」
叫んでも返事はない。放課後、玲奈の家へ向かった。だけど、そこは……。
「……空き地?」
何もなかった。ポツンと雑草が生えた、誰も住んでいない空き地。
でも、確かに昨日まで玲奈の家はここにあったはず。いつも一緒に宿題をして、お菓子を食べていたリビングは? 玲奈の大好きなぬいぐるみが並んでいた部屋は?
全部、消えている。
「……嘘だよね?」
スマホの写真をもう一度見た。だけど、さっきまで薄く残っていた玲奈の姿が、完全に消えていた。
その瞬間、背筋がゾッとした。
「美咲……」
誰かが呼ぶ声。
振り返ると、そこには……
「美咲……私のこと、忘れないでね……」
玲奈が立っていた。
でも、その姿はぼんやりと霞んでいて、風が吹いた瞬間、粉々に砕けるように消えてしまった。
「待って……!」
手を伸ばしても、そこには何もない。
その日から、私は玲奈の名前を口にするのをやめた。
なぜなら、思い出すたびに彼女の姿が薄れていく気がしたから--。
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