カップやきそばのこわいはなし
あるひ、いっしょうけんめいはたらくおとうさんが、かえりみちにカップやきそばをかってかえりました。おとうさんは、いつもとちがうあじのやきそばをちゅうもんしました。かえってきて、あたたかいおゆをいれて、ふたをしめました。
そのあいだ、かれはふと、へやのすみでなにかがうごいているのにきづきました。そこには、かびのはえたカップやきそばがありました。おとうさんは、なぜこんなところにあるのかとおもいましたが、きにせずにごはんをたべはじめました。
やきそばをたべると、いきなりくうきがひんやりとしてきました。おとうさんは、ふとみると、かびのはえたやきそばが、まるでうごいているようにみえました。いきなり、やきそばからこえがきこえてきました。「たべないで…わたしをたべないで…」
おとうさんはびっくりして、すぐにやきそばをなげすてました。しかし、やきそばはへやのすみへとひきこまれていきました。おとうさんは、もう二度とそのやきそばをたべることはありませんでした。
それからというもの、あのへやでは、やきそばのにおいがすることがあるそうです。だれもそのへやにはいかなくなりました。そして、あのかびのはえたやきそばは、いまもどこかでうごいているのかもしれません。
おとうさんがあのへやをとおりすぎるとき、いつもかびのにおいがひろがっていました。あるよる、ねむれなくて、いままでにないくらいのふあんをかかえたおとうさんは、ついにそのへやにあがってみることにしました。
へやのドアをあけると、ひんやりとしたかぜがふいてきました。ふと、どこからともなく、かすかにわらいごえがきこえてきます。「たべないで…わたしをたべないで…」そのこえは、まるでおとうさんのすぐそばでささやいているようでした。
おとうさんは、こわくなって後ずさりし、ドアをしめようとしましたが、ドアがかたくてあかないのです。そこで、かびのはえたやきそばが、へやのすみからあらわれてきました。まるでおとうさんをねらっているかのように、うごいていきます。
おとうさんは、なにかにひきつけられるように、やきそばにちかづいていきました。すると、やきそばがとつぜんひかりだし、こえがいっそうおおきくなりました。「わたしをたべないで!わたしをかえして!」
おとうさんは、あまりのこわさにたじろぎましたが、なぜかそのやきそばにひかれてしまいます。いきなり、やきそばがいっしゅんでおとうさんのあたまにしがみつきました。そして、おとうさんのこころのなかに、やきそばのかたちをしたなにかがしみこんでいくのをかんじました。
それから、あのよるのおとうさんは、まるでちがうじぶんになったようでした。かえってきたとき、かびのはえたやきそばをみて、なぜかなつかしいかんじがしました。毎晩、あのへやにいって、やきそばとともにすごすようになりました。
いまでは、あのへやはおとうさんのすみかになっています。そして、かびのはえたやきそばは、いつもおとうさんをまっているのです。だれもそのへやにちかづかなくなり、ただ、やきそばのにおいだけが、そのへやからひろがっていくのでした。
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