いや、これさ、ホント不思議っていうか怖かった話なんだけどさ。俺、中学生の時ね、夜ふかしする癖あったんだよね。夜中の2時とかさ、まだ部屋でゲームやってたりして。で、その夜もいつもみたいにひとりで部屋の電気消して、ベッドの上でスマホゲームやってたんだよ。
そしたらさ、急に隣の部屋で「ダメよ~ダメダメ!」ってお母さんの声がするわけよ。めっちゃハッキリ聞こえてきて、しかも一回じゃなくて、なんか何度も言ってるの。明らかにテンション高めでさ、昼間ならふざけてんのかなぁって思うけど。
夜中だぞ?え、何してんのって怖くなってさ、とりあえずスマホ置いて耳澄ましたんだよ。でもやっぱり「ダメよ~ダメダメ!」って繰り返してんの。
で、俺、怖いけど、いや待てよって思ったの。いやいや、さすがに夜中だし外で変な声がしてるだけとかかなって。いやでもこれ明らかにお母さんの声だし…いやーやっぱ気になるわって思って勇気出して隣の部屋、覗きに行ったんだよ。そーっとドア開けてさ、部屋に入ったら、やっぱりお母さん寝てるのよ。
普通に布団かぶってさ。え?めっちゃ混乱してさ、何だったんだ今の声…って。布団を軽くゆすったらお母さんがむくっと起き上がって、「どうしたの?」って。だから「今、何か言ってた?」って聞いたんだよ。
そしたらお母さん、ちょっと間を置いてからこう言ったんだよ。「ああ、夢の中でね、あんたが後ろに変なの連れてきてたから、必死で止めてたのよ」って。ニヤッと笑いながらさ。俺、ドン引きして何も言えなくなってさ、ただ部屋に戻ったけど、結局その夜一睡もできなかったわ…。
次の日さ、なんかやっぱり気になっちゃって、お母さんに改めて聞いてみたんだよ。「昨日の夜の話なんだけど、あれ何だったの?」ってさ。でもさ、お母さん、急に真顔になって「え、何のこと?夢の中の話なんだから覚えてないわよ」って言うわけ。いやいや、あんだけハッキリ話してたのに?適当なこと言ってんのかなぁとも思ったけど、なんかその時のお母さんの顔、微妙に引きつっててさ…正直、あんまり深く突っ込む気になれなかった。
だけど、その晩だったんだよ。本当におかしいことが起きたのは。夜中、また例の時間になって、今度は俺の部屋のドアの外から「ダメよ~ダメダメ」って聞こえたんだよ。しかも、ささやくような低い声で。俺、全身の毛穴が開いたみたいにガクガク震えた。
で、すぐ布団かぶって動けなくなったんだけど、しばらくしたら音がピタッと止まったの。恐る恐る布団から顔出してみたけど、部屋の中は真っ暗で、もう何も聞こえなかったんだ。これで終わったのかなって少し安心しかけたその時だった。ベッドのすぐ横、足元の方で「ダメよ~ダメダメ」って、今度はもっと近くではっきり聞こえたんだよ。
俺、心臓止まるかと思った。布団の中で涙目になりながら必死で目を閉じてたら、今度は布団の端がスーッと引っ張られる感覚がしてさ、もう声も出せないくらい怖くて。で、気づいたら気を失ってたらしくて、朝起きた時には何もなかった。
でも、目覚めると布団の端が床に落ちててさ、その夜の出来事が嘘じゃなかったって確認できた瞬間、ゾッとしたんだ。結局、それ以来、夜更かしするのはやめたんだよ。
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