あれは、今でも信じられないくらい“ツイていた”一週間のことだった。
その前の週までは、本当に何もなかった。
仕事は地味なデスクワークで、残業ばかり。
帰っても誰もいない部屋。
コンビニ弁当とテレビの音が、僕の夜のすべてだった。
でも、月曜日の朝――
不思議な夢を見たんだ。
真っ白な大きな鳥が、僕の肩にふわっと止まって、
何も言わずに空を見上げた。
なんだか変に心に残って、
「もしかして、今日いいことあるかもな」って、
普段絶対信じない星占いまでチェックしてしまった。
それが、最初のサインだったのかもしれない。
火曜日。
通勤電車で、たまたま隣に座った女性と目が合った。
どこかで見たことあるなと思ったら、
大学時代、少しだけ話したことがある子だった。
「もしかして…〇〇君?」
彼女の方から声をかけてくれた。
それから何年ぶりかに連絡を取り合うようになって、
その夜、自然な流れでLINEが続いた。
水曜日。
いつものように会社の帰りに、
気まぐれで宝くじ売り場に寄ってみた。
ふと、「今日だな」と思って、
いつもは買わない連番を10枚。
木曜日。
彼女から、映画の誘い。
まるで昔からの恋人みたいに、自然に笑い合えた。
金曜日。
宝くじの抽選日。
何気なくチェックした番号が…全部、合ってた。
目を疑った。手が震えた。
でも、確かに当たっていた。
一等、前後賞合わせて、1億円。
土曜日。
彼女と二人でカフェにいた。
「今日、すごいことがあったんだ」って話したら、
彼女が笑いながら言った。
「じゃあ、私とも運命だったってことかな?」
その笑顔を見た瞬間、
お金よりも何よりも、
この出会いが“本物の当たり”だったって思った。
あの一週間は、まさに奇跡だった。
宝くじと彼女、両方を当てた――
人生で一度きりの、特別な一週間だったんだ。
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