登場人物
真一(しんいち):40歳、メーカー勤務。真面目で神経質。几帳面で節約家だが、最近は妻の行動に不信感を持ち始めている。
美沙(みさ):38歳、専業主婦。以前はおっとりしていたが、最近は外出や交友が増え、夫への興味が薄れているようにも見える。
夜10時。美沙が玄関のドアを開ける音がした。真一はリビングの暗がりで、スマホ片手に静かに座っていた。
美沙「あら、まだ起きてたの?仕事明日早いんでしょ」
真一「……どこ行ってた?」
美沙「え?さっき言ったでしょ?高校のときの友達と軽く飲み…」
真一「“軽く”で5時間?“軽く”でタクシー代3,200円?」
美沙(カチンときた様子で)「ねえ、何?また財布の中チェックしたの?」
真一「無言で減ってる1万円札に、ちゃんと理由があるなら聞きたいだけだよ」
美沙「…あんたさ、自分のこと棚に上げて、よく言えるよね」
真一「俺が何したって言うんだよ。毎日会社と家の往復。コンビニでコーヒー買うくらいしか贅沢してないよ」
美沙「あんたがそうやって自分を“正しい”って信じてるのが一番ムカつくの。あたしの時間も、あたしの金も、あたしの自由も…全部、"報告しなきゃいけない"ものなの?」
真一「…最近、香水変えたよな」
美沙(ピタリと動きを止める)「……だから?」
真一「誰の好みだよ、それ。俺じゃないよな?」
美沙「…………」
真一「なあ、正直に言ってくれよ。俺が無駄に疑ってるだけなら、それでいい。でも、俺が“知らない出費”が増えるたびに、心が冷えていくんだ」
美沙「じゃあ何?あたしの心はずっとあったかいと思ってたの?」
真一「……そう思いたかったよ」
沈黙が流れる。壁掛け時計の針の音が、やけに大きく響く。
美沙「もう、レシート見てしか話さないなら…夫婦、やめたら?」
真一「……そのセリフ、俺から言わせるなよ」
[後日]
真一は次の日、昼休みに一人で銀行へ向かった。
通帳を確認する。引き出されたはずの額が、記録に残っていない。
代わりに見覚えのない「共有名義の新口座」の名前が記されていた。
そしてその週末、美沙はまた誰かと連絡を取り、黙って出かけた。
真一は知っていた。だが何も言わずに、レシートをただ、テーブルの上に置いた。
そこにはボールペンで走り書きされた一文。
「財布は埋め直せるけど、信頼はもう無理だな」
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