かつて「幸せ」とは、家を建て、家族を養い、定年まで勤め上げることだった。 努力すれば報われる。頑張れば誰かが見てくれる。 そう信じて、俺たちは汗を流し、時には心をすり減らしてきた。 https://youtu.be/Cprd1wQPCDE けれど―― 気がつけば、その“報われるはずの明日”は、どこか遠くへ消えてしまった。 定年を迎えた仲間の顔に、誇らしさよりも空虚さを感じることがある。 「これで終わりか」 そう呟いた声の裏に、何かを失ったような寂しさが滲んでいた。 便利になった世界。 AIが答えを出し、SNSが評価を数値化する。 だけど――本当に幸せって、そんな“効率”や“正解”の中にあるんだろうか。 昔は、夕暮れのビール一本で満たされた夜があった。 誰かと笑いながら歩いた帰り道に、確かな幸せがあった。 あの感覚を、俺たちはいつの間にか置き忘れてしまったのかもしれない。 これからの時代、幸せは「所有」ではなく「共有」かもしれない。 モノでも、地位でもなく、心が触れ合う時間こそが、価値を取り戻す。 「幸せの定義を、もう一度考える時がきた」―― それは、過去を否定することではない。 むしろ、ここからの人生をもう一度、自分の手で選び直すこと。 俺たち中高年は、まだ終わっちゃいない。 “幸せ”という言葉の意味を、もう一度、自分たちの物語で書き換えていこう。
ねえ……気づいてる?
いま、あなたのうしろに――いるのよ。
そう……ぴったりと。
背中に、張りつくくらい近くに。
名前?
ふふっ……教えてあげる。
“恐怖の百万個太郎”。
へんな名前でしょ?
でも……その名前を聞いたら、終わりなの。
太郎はね、自分をひとつにとどめておけないの。
だって、さみしがり屋だから。
鏡に映れば、ひとつ増える。
水たまりをのぞけば、またひとつ。
夢を見れば、またひとつ。
そうして……百、千、万――
とうとう、百万個になっちゃったの。
ねえ、あなたのうしろには……いま、いくつの太郎がいると思う?
ひとつ? ふたつ?
――そんな数じゃないよ。
百万個。
ぜんぶ、あなたのうしろに、くっついてるの。
ねえ……うしろ、見たい?
だめよ。
見たら、入れ替わっちゃうの。
太郎と、あなたが。
うしろを向いたその瞬間……
太郎のひとつが、あなたの中に**入ってくる**の。
そして……あなたは消える。
誰も気づかない。
でも、鏡の中のあなたが……ちょっと笑ってるの。
それが合図。
……今夜、あなたが夢を見るなら、覚えておいて。
夢の中で……数えてる声が聞こえたら……
「いーち、にーい、さーん、しーい……」
それ、太郎よ。
数えながら、あなたのうしろに並んでるの。
……百万まで、数え終わったとき――
あなたは、もう……戻ってこれない。
さあ、今、あなたは何を感じてる?
寒気?
耳の後ろのざわつき?
それが太郎よ。
もう……あなたのすぐうしろにいるんだから。
ふふっ……振り返ったら、**だめ**だよ。
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