記者・田嶋の取材メモ
「この村に入ると、二度と出られない」
そう噂されるのは、山間部にひっそりと存在する“八坂村”という限界集落だった。正式には十数年前に過疎化が進み、住民はほとんどいなくなったとされている。しかし、近年になって、ここを訪れた者が次々と行方不明になっているという情報を入手した。
警察の公式発表では「遭難や事故の可能性」とされているが、不審な点が多い。私は独自に調査を開始し、この村の過去にまつわる“ある奇妙な言い伝え”に行き着いた。
【八坂村の伝説】
八坂村には、「村の境界を越えた者は帰れなくなる」という言い伝えがある。その昔、疫病が流行し、村は外部との接触を断たざるを得なくなった。村人たちは自ら“結界”を作り、外へ出ることを禁じたのだという。
だが、ある日、一人の若者がこの掟を破り、村を出ようとした。彼は「外の世界を見たい」と言い残し、村を離れたが、そのまま戻ることはなかった。
やがて、村人たちは次々と原因不明の高熱に倒れ、数日後には息絶えてしまった。そして、村の唯一の生存者である老女がこう言い残したとされている。
「結界を破った者は、異界に連れて行かれる……」
【取材の記録】
私は八坂村の廃墟へと足を踏み入れた。鬱蒼とした森の奥に、朽ちた家屋が数軒並んでいる。枯れた田畑、破れた障子、風に揺れる錆びた看板――かつてここに人が暮らしていた痕跡が、まるで時間が止まったかのように残されていた。
村の中心部にある古びた祠に向かうと、そこで奇妙なものを見つけた。
土に埋もれかけた小さな木札。そこには、まるで誰かが助けを求めるように、無数の名前が彫られていた。
その中には、最近行方不明になった登山者の名前が含まれていた――。
【未解決の謎】
・行方不明者の足取りは、この村で途絶えている。だが、彼らの遺体は発見されていない。
・村の祠には、失踪者の名前がなぜか刻まれていた。
・かつての住人の証言によれば、「村にはまだ何かがいる」と言われている。
この事件は、いまだ解決されていない。
【END】
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